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の経年変化を示したものである.多様度指数の算定には,次式のSimpsonの類似度指数λを用いた 5).

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ここにniは,i番目の出現種の個体数,Nは総個体数である.同図の多様度指数の変化をみると前出の種類数の経年変化と同様の傾向を示しており,St.6は多様度が低く,St.23と三枚洲の指数が相対的に高くなっている.また,森が先の鼻では指数の季節変化も小さく,1988〜1989年以外は底生生物相は安定している.

4. 底生生物ネットワークの構築

これまでニューラルネットワークは,情報工学や自動制御工学の分野で研究が行われ,その応用か進められてきている 6).この評価法は信頼しうる調査データが十分に集められていれば,データの中に存在する要因と結果の関係を学習することで因果関係を評価あるいは予測するという帰納的分析法である 7).したがって生態系環境評価問題に適用する場合は物理環境や生物環境に関する調査データを学習させてやれば,環境要因と環境変化の因果関係を,迅速かつ定量的に関連づけることが出来ると考えられる.そこで,以下では,前節で述べた底生生物の調査データを学習させ個体数ならびに多様度指数を評価するネットワークをそれぞれ構築し,その認識率について検討した結果について述べるとともに湾内の各測点の海底環境区分指標についてもネットワークで予測させた結果も示す.
ネットワークに入力する要因は認識対象によって異なる.たとえば生物個体数を評価しようとする場合は,前述の調査項目の個体数を除く26の調査項目を要因(説明変数)とし,個体数をネットワークの予測値(目的変数)とすればよい.出力するネットワーク精度の検証は,未学習データを入力したときのネットワークの推定値と実際の調査結果との誤差で評価した.使用したネットワークは階層型ネットワークであり,学習アルゴニズムはバックプロバケーション法である.
ニューラルネットワークは同じ説明変数や目的変数を用いてもその学習環境,例えば中間層,細胞数,学習回数,学習パラメータを変化させることによって認識精度が良くも悪くもなる.一般に認識精度の良いネットワークを作るためにはなるべく単純なネットワークとすることや過度の学習を避ける方が良いとされている.そこで本研究では以下の手順によって最適ネットワークを探索した.
(1)ネットワークの学習用データ(教師データ)を1986年から1991年までの水質,底質ならびに生物データとして,中間層数および中間層細胞数を個々に変えたネットワークを作り学習させる.
(2)上で得られた各ネットワークに対して未学習データを入力した時の個体数,種類数,多様度指数等を予測させる.
(3)実測結果と各ネットワークの予測結果を比較して,認識率を調べ精度の高いネットワークを探す.
2)学習回数の影響について
一番精度の高かったモデルの学習回数を5万回,10万回,15万回と変化させ,認識率の変化を調べた.5万回から学習回数を増やすにつれて,一部の結果に認識率が向上する傾向が認められたが,10万回以上になると有意な差は認められなかった.

5. 底生生物ネットワークの認識結果

5.1 生物個体数の認識結果
図-4は,1986年から1992年の期間に各観測点において調査されたデータを用いてニューラルネットワークで推定させた個体数と実預1個体数の差を誤差として示したものである.ネットワークは,4層であり,各層のニューロン数は,入力層から26,中間層24,出力層1であり,学習回数を10万回とした時の結果である.この結果から,全体的傾向として1987年5月および1988年5月は認識誤差か大きく,一方,1987年9月,1986年5月,1990年5月では比較的誤差が小さいこと,St.6,St.11,St.35,St.22などの個体数が小さい観測点については,認識誤差が小さいこと,三枚洲,城南大橋,葛西沖人口渚などの個体数の大きい箇所ではいずれも誤差が大きいこと,などがわかる.上記の認識誤差が大きい原因としては,ここで対象とした環境要因とは別の要因(たとえば人為的要因)が短期的に作用し個体数の変動が生じたことが考えられるが明確ではない.むしろ学習データとなる物理環境調査や生物調査が年2回と限られているため,干潟環境と個体数の間の因果関係を認識するには年間調査回数が少なすぎることが要因ではないかと考えられる.また,ここでは,個体数の差を誤差として評価したが,相対誤差を求めて評価することも必要であると思われる.
5.2 多様度指数の認識結果
表-1は,1986年から1992年までの各観測

 

 

 

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